聖地との響き合い(10)~心に豊かな静けさを~
2016年も半分が過ぎました。
時間が、とても早く流れてゆくのを感じませんか。
濃く豊かな体験が、日々連続して起きています。
その出来事を自分の中に落とし込み、しっかり咀嚼する時間が取れていないように思うのです。
6月21日は夏至です。
太陽のエネルギーが最大となります。
本格的変化の波は夏至から秒読み段階。
その前に、タイトな日常から少し離れてみましょう。
6月は水無月ともいい、水に関係の深い時節です。
水気を求め、八ヶ岳南麓の大滝湧水公園の中にある、大滝神社へ向かいました。
社殿前にはわさび田があり、葉の緑がとても美しく見えます。
神域はしっとりとして清閑とした空気に満ちています。
左手には、木をくりぬいて作られた樋(とい)から、清冽な湧水が流れ落ちています。
口に含むとかすかな甘み。
山の気が溶け込んでいるのでしょうか。
水の音を聞き流れを眺めているだけで、すっと心が静かになります。
加速気味だった時間の流れが、ゆったりとしたペースに戻ってゆくのを感じます。
社殿脇の斜面を登ると磐座があります。
磐座に立つ石碑には「 蠶影太神(こかげおおかみ)」の文字。
「蠶」とは「蚕」の旧字です。
この地域は、かつて日本有数の蚕糸生産地でした。
当時絹は高級品ですから、多くの富をもたらしてくれたはず。
恵みへの感謝と守護してくださる神様への厚い信仰がうかがえます。
ふと、歴代の皇后さまに養蚕が受け継がれていることを思い出しました。
皇后さまは毎年蚕を育てられ、繭を収穫されているのです。
蚕は天の虫と書きますが、天から与えられたお使いなのかもしれません。
ここは大滝の名がついていますが、滝があるわけではありません。
ふんだんに湧き出す様子を指したのでしょう。
豊かな水は恵みをもたらします。
湧水の静かな響きに瞼を閉じると、浮かんでくるのは羽衣をまとった女神のイメージ。
あぁ、ここは恵みをもたらす女神のいらっしゃる場所なのだ。
静寂の中にも豊かさを感じるのは、この女神の持つエネルギーそのもの。
清浄な水の流れは、余分に力の入ったところを祓い清め、素直さを浮き出させてくれます。
この場に柔らかく受け入れられ、静かに佇み時間を過ごすとき、手にしていた豊かさに気づくでしょう。
お水をまた一口。
飲むと自分が満ちてくる感じがします。
甘みを含む豊かな水を自分に取り入れることで、その水の持つ豊かなエネルギーに同調していくのでしょう。
豊かなこのお水、持ち帰りの用意も忘れずに。
<大滝神社>
山梨県北杜市小淵沢町上笹尾2738
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藤本ゆり
チャネラー。高次の存在、自然からのメッセージを受け取り伝える。
聖地巡礼ツアーや様々なワークショップを積極的に行っている。
近年ヒーリングに気功を取り入れるなど、常に自身を進化させている。
写真:井田宗秀 http://ida.viewbook.com