植物が繋ぐ世界 Ⅲ(1)「お年魂 ~感謝という最強の白魔術~」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA2015年から2016年への準備。

 

門松を立てると、そこにこの一年に福をもたらす歳神様がお座りになる。

鏡餅をお供えすると、その餅に神様が宿る。

ごちゃっとした部屋や通路じゃ神様も通れない。

汚れたところもちょっとイヤ。

何日も経ったお水は神様だって飲む気になれない。

御神酒は?お節は??

それから、それから・・・

 

それとなんでしょう、とにかく歳神様にいらして戴けるようになっていますか?

歳神様はその一年間に福をもたらして下さる大事なお方です。

 

常若な松や竹のい~い香りに誘われていらした歳神様が、更に家の中にあるお供物(鏡餅・御節)の美味しそうな香りに誘われ、床の間や神棚に至るまでの道のりに障害物がなかったものだから、ついつい家屋の奥まで入り込んで正月中居座ってしまった・・・。

 

これがお正月本来の目的であり、目的の真髄には “円満に年を重ねる” という祈願から二重に重ねた鏡餅へ、歳神様に宿っていただくことにある。

 

歳神様の宿った鏡餅は、その一年を力強く生きていくための力の源。

このとんでもないパワーフードを「年魂」と呼び、家長が家族それぞれに分け与えた。これが「お年玉」となったため、お年玉は目上から目下へ与えられる習慣となったらしい。

 

現在の鏡開きは1月11日。ちょうどこれからですね。

 

そういったわけで、1年に一度しかいただくチャンスのない「御歳魂」を戴くには、なんとしてでも歳神様にいらしていただかないとなりません。

 

稲穂も見事に育ち、この年をみな無事に生きてこられたことを、歳神様に感謝する。

稲穂が育たず飢饉にさらされた年は、歳神様への感謝が足りなかったと反省し、落ち度のないよう歳神様をお迎えする準備をする。

 

祈りが先か、感謝が先か。

“ありがとう” と互いに想い合う心は、二千年以上の年を繰り返してきた神様とのリレーションシップ。

ここが円満であれば、私達もだいたい円満に生きていくことができる。

 

 

さて、いらしてくださった歳神様にも帰り方がございます。

小正月にあたる1月15日(厳密には14日の日没〜15日の日没)に、門松をお焚き上げし、その煙に乗って戻って戴きます。

歳神様にはこの1年いろんな役割が待っています。

春には田の神役、秋には山の神役。

民が繁栄するよう尽力くださった御礼の印に、収穫祭に献上された食材「節供(せちく)」で御馳走をこしらえた「御節供(おせちく)」を用意します。

三が日は火も包丁も使わず、全ての神様に休んでいただきます。

祝い箸の両端がつまめるようになっているのは、片方は神様が使われるためとのこと。

 

歳神様の与えてくれた全てに感謝し、また新しい魂を頂戴し、またそのことに感謝する。

 

生活の中には、いつでも感謝が溢れているほうがいい。

願いが先か、感謝が先か。

感謝は幸せと表裏一体。

叶えたい願いがあるのなら、目に入る全てに感謝をしてみるといいでしょう。

八百万の神はその感謝を喜び、きっと度々遊びにきてくださいます。

 

 

 

出典参考:正月

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/正月 wikipediaより

 

 

 

 

【コラム・いけばな】赤木マキ

makiAKAGI_akg+_1_201401_500_72赤木マキ(華道家/DJ)

華道家元池坊 いけばな正教授

1997年よりいけばなを学び、2003年より個人創作発表を開始。

都内クラブをベースとしたパフォーマンス、企業レセプション装花等を経て、植物関連等のコラムを執筆。花と植物そのものの計り知れないエネルギーを敬い、人と植物と宇宙の関係性を研究する。akg+、makiAKAGIの名義にてDJ・音楽活動を行い、いけばな・音楽ともにその可能性の拡張と概念の更新を理念としている。http://akagimaki.x0.com

 

写真:井田宗秀 http://ida.viewbook.com

 

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