もうすぐお盆ですね。
「お盆」は、祖先の霊をまつる行事。
わたしがここにいるのは、先祖からの血脈がずっといのちをつないできてくれたから。
私は祖霊という言葉を聞くと、縄文の世界が頭に浮かびます。
現代、祖先たちの世界と私たちの世界が交わることは、ほとんどありません。
お盆の間だけ祖先と一緒に過ごす風習が残っている、その程度でしょう。
ところが、縄文の時代は、目に見えるものと見えないものの境界がない世界でした。
そのころの人々は、祖先のたましいをもっと身近に感じていたはずです。
各地の縄文遺跡から出土する勾玉。
その形にどのような意味があったのか、様々な説がありハッキリとはわかっていません。
ただ祖先のたましいを具体的にイメージすれば、柔らかな輝きを放つ翡翠の勾玉がしっくりきます。
目に見えない世界が身近だった縄文の人々も、同じような想いを抱いていたに違いありません。
特に翡翠で作られた勾玉には、祖先のたましいが宿っていると信じていたのではないでしょうか。
縄文中期頃の遺跡から発掘された翡翠は、ほとんどが新潟県糸魚川産のもの。
翡翠の産地とは、どんなところなのか行ってみました。
糸魚川市を流れる姫川の上流に翡翠峡と呼ばれる場所があります。
翡翠に囲まれた峡谷なんて、おとぎ話に出てきそうです。
姫川の支流、小滝川の川原一帯が日本随一ともいえる翡翠の産地、小滝川ヒスイ峡です。
傍らには明星山の大岩壁がそびえ、峡谷がつくられていったダイナミックな自然の力と大きな時間の流れを感じずにはいられません。
この場所は中構造線上にあり、大地のちからも強く働く場所です。
堅固な硬玉である翡翠は、地球の高い圧力によって作られるのです。
川原へ下り、翡翠に囲まれたその場所で、しばらく目を瞑ります。
巨大な岩壁があるせいなのか、翡翠に囲まれているせいなのか、洞窟で瞑想しているような気持ちになります。
まるでネイティブアメリカンの伝統儀式、ビジョンクエストのよう。
ビジョンを得るために山に籠る儀式は、きっとこんな場所で行われたのでしょう。
耳を澄ますと、古の人々や先祖から、また大いなる存在から、時間の流れを超えて太古の叡智の囁きが聞こえてきそうです。
とてもリアルに、先祖達とのつながりを感じます。
縄文の時代がすぐ身近にあるように感じるのは、長い年月を重ねて結晶した岩石の持つ”ちから”のせいなのかもしれません。
古えのご先祖達も、この土地で太古から聞こえてくる声に耳を傾けたことでしょう。
ビジョンが与えられるよう、耳を澄まし、感覚を研ぎ澄まして。
私たちは今を生きているけれど、”いのち”を俯瞰することを忘れていることがあります。
連綿と受けつがれた”いのち”
祖先に想いを馳せることは、自分と確かにつながっている”いのち”に意識を向けることに他なりません。
翡翠峡は、祖先の世界と私達がいつも繋がっている事を思い出させてくれる、特別な場所と言えるでしょう。
小滝川ヒスイ峡
新潟県糸魚川市大字小滝
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藤本ゆり
チャネラー。高次の存在、自然からのメッセージを受け取り伝える。
聖地巡礼ツアーや様々なワークショップを積極的に行っている。
近年ヒーリングに気功を取り入れるなど、常に自身を進化させている。
写真:井田宗秀 http://ida.viewbook.com