聖地との響き合い(12)天狗様の教えは、ゆるやかに、丁寧に。

この秋、今までとは違う空気を感じていませんか?
環境も世間も、まだまだ変化が続きそうです。
神出鬼没・変幻自在の天狗様なら、変わりゆく物事にも対応する術をご存知のはず。
時代に上手く順応するヒントを授けていただこうと、「天狗の社」と呼ばれる古峯神社に出かけました。

古峯神社は霊山古峯ヶ原に鎮座する神社。
日光開山の祖といわれる勝道上人は、ここで修行を積み、以来この地は日光修験の道場として栄えてきました。

古峯ヶ原街道に立つ巨大な一の鳥居を抜け、どんどん山中に入っていきます。
まず目指したのは、勝道上人が庵を結んだ「深山巴の宿」。
古くは全日光僧坊達の修行の場として、今でも古峯神社の禊どころとして使われている場所です。
山頂付近に車を停め歩くこと数分、小さな看板を目印に山の小道を進みます。
清水が湧き出ている小川の向こうに、木で出来た小さな鳥居が見えてきました。
森の木々が小さな空間を優しく囲んでいます。
湧き水をすくい身を清め、その空間の足を踏み入れます。
細かな光の粒子に満ちた、柔らかい女性的なエネルギーを感じ、身体の力がふわ~っと解けていきます。
この優しい空間の中は、包まれたような安心感があります。
そして、自分が澄んでいく感覚。
この空間の気の中に静かに佇んで、禊をしているかのよう。
修行の地での禊というのは、こんなにも優しいものなのでしょうか。
厳しく自分を律するといった修験のイメージとは対照的で、意外でした。

 

 

心身ともに禊を終えて、次は古峯神社へ向かいます。
古くから崇敬されてきただけあり、どこを見ても手入れが行き届いています。
信仰の厚さ、それが保たれている時間の密度を感じます。
社殿は、拝殿と茶寮・宿坊が1つに連なる珍しい創り。
中に入ると迎えてくれるのは、所狭しと御鎮座される数多くの天狗様。
これらは、熱心な崇敬者の方々が心願成就の際に奉納されたものだそうです。

古峯神社には古峯園という日本庭園があります。
こちらも手入れの行き届いた美しい場所で、山奥であることを忘れさせる、洗練された佇まい。
大切に丁寧に守ってきた、そんな気を感じます。
茶寮に腰掛けて庭園を眺めていたとき、涼風が優しく耳元で囁いた気がしました。
「どんなに環境の変化があったとしても、柔らかく受け入れていくことだよ。」

きめ細かく自分を澄ませていくこと、そして丁寧に取り組むこと。
そうすれば大きな変化であっても、しなやかに受け入れることが出来ると、古峯ヶ原の天狗様は教えてくれたのでしょう。
天狗の神通力とは技ではなく、自然を守ろうとする力、自然を受け入れる受容力のことなのかもしれません。

 

 

 

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藤本ゆり

チャネラー。高次の存在、自然からのメッセージを受け取り伝える。

聖地巡礼ツアーや様々なワークショップを積極的に行っている。

近年ヒーリングに気功を取り入れるなど、常に自身を進化させている。

写真:井田宗秀 http://ida.viewbook.com

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