植物が繋ぐ世界 Ⅲ(5)「雑草 ~命を繋ぐ緑の使者達~」

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土か水、それと空気。

それなりの環境があれば、植物はどこへでも根を張り生きながらえる。

 

人間も同じく。

それなりの環境のあるところには、どこにでも生まれ生息し、永続する。

 

私たちの共通点は、環境に順応する能力がずば抜けて高いということ。

種族の存続に「順応」とか「適応」する力は必要不可欠。

これまでも「自然淘汰」によって、生き延びるものと絶えるもの、二つの道が用意されてきた。

「特別な者」は、この宇宙には存在しない。

単に順応し、それらの集合体が現在を形成している。

というのが、ダーウィンの「進化論」である。

 

 

果たしてそうでしょうか?

ただ状況に沿って順応したのであれば、この地球上はこんなにもデザイニングされるでしょうか?

緑の葉の上に、あんなにも目立ちたがりの鮮やかな色彩の花が咲くでしょうか?

美しさや芳香に魅せられた虫たちによって、植物が子孫を繋いでいく連動は「順応」でしょうか?

 

土蜂の親は、自分より大きなハナムグリの幼虫(芋虫)の神経中枢を一刺しし麻痺させ、卵をひとつ生みつける。卵から孵った土蜂の幼虫は、孵ったその場所から食べながら潜り込み、その芋虫が皮と筋だけになるとその中でサナギとなり、孵化するという。そしてその間、芋虫は麻痺させられたまま生きている。その生が止まり腐敗してしまわないように、土蜂の幼虫は生まれた直後から「食べ進む順番→その殻を使いサナギとなるまで」のルートを微塵も間違えずに遂行する。この過程のどこか一つを間違えただけで双方の生命は途絶えてしまう。(※1)

 

 

すべての生物には綿密なプログラムが施されている。

この宇宙がより良き方向へ進むように。

あなたの繋いだ何百代のちの子孫が、世界を統治するように。

あなたの小さなアイデアが、のちの世界に完全なる平和をもたらすように。

 

植物もまた同じように、誰の目にも触れない場所へ蔓延ってでも生き延びなければならない使命がある。

栽培種ではなかったために「雑草」と一括りにまとめられ、疎まれ、何百年むしられ続けてでも、どんな隙間からでも根を張り、葉を伸ばし、生き延びることで、いつか来る緑のない世界へ新鮮な酸素や鮮やかな緑色をもたらすために繋ぎ続ける。

 

それぞれの種族は、いつかのために「何か」を残すことによって、この隙だらけの宇宙を補完する。

 

そのことに、私達の小さなアゲウンが大きく大きく影響していく。

喜びも幸せも、全ての感情は連鎖していく。

連鎖には発端が必要。

まずは自身が喜び、楽しみ、幸せを見つけ続けること。

 

植物達も、自身が生き生きと美しくあることによって、誰かに喜びが生まれ、世界が美しくなることを熟知している。

だからこそ、どんな隙間や日陰でも凛とした姿でいるのではないでしょうか。

 

 

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(※1)「昆虫記」著:ジャン・アンリ・ファーブル より

https://ja.wikipedia.org/wiki/昆虫記

 

(※)雑草

「雑草(ざっそう)とは、人間の生活範囲に人間の意図にかかわらず自然に繁殖する植物のことである。」

参考wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/雑草

 

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【コラム・いけばな・写真】赤木マキ

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赤木マキ(華道家/DJ)

華道家元池坊 いけばな正教授

1997年よりいけばなを学び、2003年より個人創作発表を開始。

都内クラブをベースとしたパフォーマンス、企業レセプション装花等を経て、植物関連等のコラムを執筆。花と植物そのものの計り知れないエネルギーを敬い、人と植物と宇宙の関係性を研究する。akg+、makiAKAGIの名義にてDJ・音楽活動を行い、いけばな・音楽ともにその可能性の拡張と概念の更新を理念としている。http://akagimaki.x0.com

 

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