聖地との響き合い(13)禊ぎ、新たないのちで満ちる

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12月は冬至、今年最後の新月、そして大晦日という節目があります。
節目とは、あちらとこちらの境目であり、自然界の中ではそれは死と再生を表します。

生まれ変わる場所として思い浮かんだのは、京都福知山にある皇大神社。
古くから信仰の地であり2千年以上もの歴史があります。
伊勢神宮が今の場所に鎮座する以前、ここに神宮があったこともあり、元伊勢と言われています。
こんもりとした森の様子が、古墳のようにも見える神社の入り口。
杉の木立の参道を歩くごとに、山の森の奥に一歩一歩吸い込まれていくような感じがします。
こちらの世界から、あちらの世界へ、うつりゆく世界の方に身体もなじんでいきます。
階段を登り、現れる黒木鳥居がまたその世界の中にも神域があることを示しています。
杉の木を削ぎ組み立てただけの、静寂な空間を作るための結界。
鳥居をくぐり、神域に入ると気がぐっ濃度を増します。
神域の場に徐々に慣れ、浄められ軽くなるのを感じながら、さらに境内の奥へ。
皇大神社の御神体である日室ヶ嶽、美しい円錐状の山が見えてきます。
原生林の神聖な禁足地で皇大神社側には「一願さん」と呼ばれる遥拝所があります。
山の気が満ちた神々しい姿に、自然と手が合わさります。
縄文の祭祀跡も見つかっており、古くからこの山自体が信仰の対象だったことがうかがえます。
山のいのちをたっぷりと含んだ空気の中で呼吸すると、呼吸を通して、お山と自分とがつながっているのを感じます。
大いなるものと共にある、この上ない安心感。

 

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日室ヶ嶽遥拝所から下っていくと、五十鈴川渓谷のせせらぎの音。
音に導かれ奥へ進むと、奥宮である天岩戸神社があります。
渓谷の両岸は原生の森で、渓谷のあるこの一帯は森の緑に覆われ、青緑のまあるい空間はまるで胎内のようです。
神が降臨した御座石・神楽岩・神が産湯をつかった大神の産盥といった奇石は、この空間にあっては本当に神々の道具のよう。
急な斜面にはりつくように社殿が見えます。
石段を登り、最後は鎖につかまり、社殿の前へ。
この高さまで登れるのは、神の遊ぶ神聖な空間を、神と同じ目線になり見てみると言うことなのでしょう。
渓谷の水音を聴き、胎内のような安心で守られたような場所に包まれていると、時間を忘れてしまうほど。
いつまでも留まっていたい場所です。

 

神社から里へ降りると、慣れた人の世界へ戻ります。
ひとたび神の領域に入ると、古いエネルギーは禊がれ、清らかなエネルギーと交換されます。
再び気が満ち、一巡りすることで生まれ変わり、新しい力が湧いてきます。
わたしたちは、大きな生の中で小さな死と再生を繰り返しています。
何度も生まれ変わり、よみがえる。
きちんと終わらせる、禊をすることは、新しいいのちという力を得ることです。
暦が変わるだけでなく、生まれ変わるように、この自然のサイクルの中で新しいいのちを生かしましょう。

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藤本ゆり
チャネラー。高次の存在、自然からのメッセージを受け取り伝える。
聖地巡礼ツアーや様々なワークショップを積極的に行っている。
近年ヒーリングに気功を取り入れるなど、常に自身を進化させている。

写真:井田宗秀 http://ida.viewbook.com

 

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