空気がヒンヤリとしてくる今頃の季節から、霊山の各所で斉燈護摩(さいとうごま)が焚かれます。数メートルにも及ぶ大きな炎の前で山伏たちが勇壮に祈祷を行います。とても荘厳な法要です。
また炎のスケールは小さいですが、密教系の寺院では不動明王像の仏前で護摩加持祈祷が行われます。どちらも炎の前で祈願者の願い事を神仏に伝えると言う点では共通しています。
皆さんは、どうして神仏にお願い事をするとき炎の前で行うかご存じですか?
神仏、特に日本古来の神々はとても「ケガレ」「不浄」を嫌います。ご神事である相撲も、神々をお迎えするために土俵に塩をまいて邪気を祓ったのちに取り組みが行われます。日本の塩作りもご神事です。塩を作る職人は食を絶ち潔斎を行って身を清めてから作業を開始します。神聖な神輿の担ぎ手は、祭りの前に川や海に入って身を清めます。
加持祈祷は、神仏をお呼びして直接お願い事をする神事です。従ってお呼びする依り代(場所)は当然清浄でなければなりません。皆さんは、地球上で一番清浄な場所ってどこかご存じですか?それは「炎の中」です。炎の中に入るとすべてのものは燃えてしまいます。もちろん邪気や魑魅魍魎も。従って最も聖なる場である炎の中に神仏は降臨してくださいます。
話はちょっとそれますが。どんなに神様に祈っても願い事が叶わないということありますね? そんなとき、「神様はわたしを無視してるのでは?」なんてつい思ってしまいますよね。
なぜ一生懸命に祈っているのに願い事が叶わないのでしょうか?それは、あなたのいる場所が神仏をお呼びするにはふさわしくないからです。お部屋が散らかっていませんか?掃除もあまりしていないのではないですか?不浄なところに神仏は降臨してくれませんよ。神仏が来てくれないのだから願い事も叶うはずがありませんよね。
神仏にお祈りするときは、午前中が好ましいです。古神道では午後になると大地の気が汚れてくると言われており一切のご神事は行いません。
そしてお祈りする前に、まず身辺をきれいに整えましょう。香を焚くと部屋の邪気は逃げていきますのでお勧めです。
そして最高の聖なる場を作るためにロウソクやキャンドルを灯しましょう。お部屋を暗くすると祈りに集中できるので好適です。
これでやっと神仏をお招きする環境が整いました。両手を合わせて合掌し、無心で炎を見つめましょう。腹式呼吸は鎮心に有効です。心が整ったらお願い事を神仏に告げましょう。
あなたの祈りが神仏に届き、炎の中に神仏が降臨されます。そしてあなたの願い事をきっと叶えてくれることでしょう。
このように、ただ祈るだけでは神仏は降臨してくださりませんし願い事を聴き留めてくれません。願い事を叶えたいならまずは適切な祈りの場を用意しましょう。
今叶えたい願い事がある方は是非実行してみてくださいね。